DETAIL
このプロダクトはそもそも
初めてのスウェットパーカーを作ろうと
スタートした企画でした。
これまでに作らなかったのには
大きな理由があります。
乾かない。
寒い季節に着るアイテムですから
これは致命的な問題です。
脇下とポケット、フード裏首元が
特に乾きません。
このような理由でパーカーを着るのは
数年前から辞めました。
これまでの常識を疑う事、
「いわゆる」をぶっ壊す。
柔軟な考え方からしか
新しい物は生まれません。
考え方を変えれば乾くスピード問題を
クリア出来ればパーカーが作れる。
そんなところから
この企画はスタートしました。
スウェットをベースに乾きにくい部分を
ポーラテックのフリースで作る。
この企画のスタートは
この考え方でした。
考え方としては良かったんですが、
ぜんぜん上手くいきませんでした…
問題はスウェットとフリースの組み合わせ。
厚み、質感、性能、色味のバランスを
上手く組み合わせれませんでした。
ここまでの戦いに
1年ほどかかっています。
1年かけてダメなら無理。
そこに辿り着くのに必要な時間でした。
ふと思いついたのが
スウェットとフリースを
組み合わせない単独素材。
こうしてフリースパーカーを
作る企画にシフトしていきます。
こうなれば抱えてる問題は
簡単にクリアできるのですが、
それでは面白くありません。
見た事のないプロダクトが作りたい。
制作意欲と言うのはそう言う物です。
これはアウターになるだろうと
着る、脱ぐを「さっ」と行いたいので
フルジップにする事にしました。
とは言え、
ただのフルジップパーカーでは
面白くない…
物作りをしていると
アイデアが降臨する時があります。
ダブルフェイスだ!
素材を二重にする事で防寒性を高めた
日本では絶対に誕生しないであろう考え方。
スウェットで作られている物が
ヴィンテージスウェットにありますが
めちゃくちゃ重たい。
あれは洗濯物問題としては最低です。
見た目のボリューム感以外には
良いところが無いと思っています。
これが逆転の発想。
スウェットで制作したら0点ですが、
乾燥スピードが早いフリースなら
マイナスがない。
思いつく限りのマイナスを
フリースなら無効化してくれる。
むしろプラスしかない。
道が開けたように思いましたが、
また別の地獄が始まります…
使うフリースの種類と
表裏の組み合わせです。
ポーラテックには違う性能を纏った
多くのフリースがあります。
同じ名前で厚みが違う物や、
特殊な性能を持つフリースがあり、
廃盤だったり、色変更でリニューアルしたり…
正解のない迷路に迷い込みました。
正解がありませんので
自分なりの黄金比を探すところに
多くの時間とお金を使った事は
容易に想像していただけるでしょう。
自分なりの組み合わせを探る為に
何度もサンプルを制作し、
修正を重ねてやっと辿り着いた
自分なりの黄金比。
これがうちのプロダクトだと
自信を持ってお勧め出来る構成です。
表側にはフリースのマイナス点である
風通し問題をクリアする為の加工が施された
防風フリース「WIND PRO」を採用しました。
「WIND PRO」にも厚みがあります。
ここの選び方にも自分なりの考えを
落とし込んでいます。
「WIND PRO」には
防風性だけでなく、
撥水性が付いていました。
これは嬉しい誤算です。
透湿性も機能としてあり、
湿気は外に吐き出してくれます。
ダブルフェイスなので
これは特に嬉しい性能でした。
あくまでも一重での性能なので
二重にすれはその性能は減りますが
無いよりはぜんぜん良いです。
ダブルフェイスなので
裏側も必要になります。
裏側は表よりも悩みました。
表側性能の邪魔をせず、
少しでも軽く、着心地を向上させたい。
ここも何種類も組み合わせをテストし、
最終的に採用したのは
リサイクルフリース「MICRO」
これは通気性、保温性に優れた
ストレッチフリースです。
着心地を向上させるのに
このストレッチ性が必要だと考えました。
裏側は通気性があるので
表側の透湿性を活かす組み合わせです。
性能が決まればあとは
重さと厚みとのにらめっこ。
こうして最初の企画がスタートしてから
発売まで2年かかったプロダクトは
ゴールへと向かいます。
肉厚でボリューム感はあるのに
無駄な重さを感じない
不思議なパーカーが形となりました。
先にも書きましたが、
見た目のボリューム感、ゴツさからは
想像もできないほど着た時に重く感じません。
プロスペックの素材を使い、
フリースの重さをグラム単位で構成した成果です。
このプロダクトには目立つ部分に
当店のタグやロゴの主張はありません。
これは機能素材を作る
POLARTECの性能に特化した服である。
そこだけが表現出来れば良かったのと、
アメリカで売ってるどこの服か分かんない感じ。
そんな服にしたかったので
最小限の味付けしかしていません。
プロスペック素材ではありますが、
本格的な登山等に使う事は考えていません。
日本の冬をどれだけ楽に過ごすか?
これが今作のテーマです。
ジッパーはYKKのビスロン。
アメリカ軍も採用するジッパーですので
軽くて滑りも良く、耐久性も高い。
ジッパーのサイズにも
こだわりがありまして
アウターだと10号ですが、
8号サイズ採用です。
ジッパープルはアメリカ軍の兵士が
実費でも購入して使う代物。
グローブを付けたままでも
開け閉めがしやすいプルを採用します。
どこにも手抜きをしていない
これがプロの服であります。
余計な物は何も付けずに
物の性能と、構成で勝負した今作。
裾にポケットだけのシンプル仕上げです。
プロトタイプは昨年の冬からテスト。
山の中にある温泉施設に行く時に
このプロダクトの凄さを体感しました。
あきる野市の夜は氷点下です。
山に行けば2〜3°はさらに低い。
東京都ではありますが、
めちゃくちゃ寒いです。
その厳しい寒さの中でも
圧倒的な保温性能を発揮しました。
いけると確信した瞬間であります。
二重のフードの保温性は
ただただ最高の一言。
フードは実用的に使う事を考えて
形と構成を考えました。
極寒地仕様ではありませんので
アクティブジェットキャップと
組み合わせるイメージで作りました。
抜群に良い形は
フロントジッパーの高さと、
フードのバランスにこだわった成果です。
このアウターは
バイク用には作ってませんが、
自転車乗りには非常にお勧めです。
驚きの保温性ですので
中に着る服の種類、枚数を間違えると
とんでもない事になります。
汗冷えが一番まずいので
お気をつけ下さい。
その為に当店の核となるポーラテックの
最新素材と組み合わせてください。
「POWER DRY」「 DELTA」
「 BIRD EYE」「GRID」
この組み合わせからシーンに合わせて
汗冷えしないチョイスをお勧めいたします。
このフルジップパーカーにも
ポーラテックJPNの正規ライセンスで
POLARTEC刺繍が入ります。
これ用に作った大きさで
裾に大きめの刺繍は圧巻です。
ポーラテックの高級フリースで
パーカーを2枚作って1枚にドッキング。
そこに刺繍まで入れています。
安く作れるはずはありません。
スタート時よりも使うフリースの価格が
表も裏も上がりました…
高いけど安い。
ここまでの作り込みを税込5万円切るって
他では絶対に出来ません!
この材料構成なのでアウトドア、
スポーツウエアになりそうですが、
いわゆるハイテク路線に進まず、
日常着に仕上げる。
これが当店のプロダクトです。
サイズ詳細(cm)
サイズM 着丈68 肩幅47 身幅58 袖丈61
サイズL 着丈70 肩幅49 幅60 袖丈62
サイズXL 着丈71 肩幅52 身幅63 袖丈62